就寝前と朝一番で確認すること
*一見暇そうに見える運用担当者も、時間に追われながら日々奮闘しています。何よりも、「思考する時間の確保」が、運用担当者にとって最も重要なことです。
営業店の仕事は「お客様との対話」の準備から始まります。一方、余資運用の仕事は「市場との対話」の準備から始まります。
営業店では、お客様との面談を成功させるために、事前準備が欠かせません。余資運用担当者も同じです。
ただ、準備する相手がお客様ではなく、金利、株価、為替、そして世界中の市場になります。
市場が開く前の限られた時間に、できるだけ多くの情報を整理し、その日の運用方針を頭の中で描いていきます。
実際には、自宅で朝刊やニュースを確認しながら、その日の相場を頭の中で組み立てるところから仕事が始まります。
市場は、自分の都合を待ってはくれません。
海外市場で何が起きたのか。
金利は上がったのか。
株価はどうだったのか。
為替は円高か円安か。
まずは前日の世界で起きた出来事を頭に入れてから出勤します。
出勤すると最初に見るもの
出勤して最初に行う仕事は、メールを読むことではありません。
もちろんメールも確認しますが、最も重要なのは、「今日、市場で何が起きそうなのか」を把握することです。
海外市場の動き、信金中央金庫から届く情報、証券会社のレポート、日本銀行のオペ予定、新発債の発行予定などを短時間で確認し、その日の市場全体の流れをつかみます。
同時に、自金庫の状況も確認します。
今日は運用できる余資はいくらあるのか。
大口預金の入出金予定はあるか。
日銀当座預金の残高は十分か。
昨日までの評価損益はどう変わったか。
市場だけでなく、「自分の金庫」を知ることも重要な仕事です。
売買は午前中に集中する
午前9時、東京市場が始まります。しかし、いきなり注文を出すことはあまりありません。
寄付き直後の相場を見ながら、
「今日はどんな相場になりそうか」というシナリオを頭の中で組み立てます。
事前に考えていた運用計画と照らし合わせ、
「予定どおり売買するのか」
「少し様子を見るのか」
「今日は見送るのか」
を判断します。
売買が決まれば、証券会社や信金中央金庫から気配を取り寄せ、条件を比較しながら発注していきます。
ここでは、単に利回りが高い銘柄を選ぶのではありません。
期間、信用力、リスク、ポートフォリオ全体とのバランスなど幅広く考えながら、一つ一つ判断していきます。
午後は「考える仕事」が中心になる
午後になると、新しい売買よりも管理業務の比重が高くなります。
午前中に行った取引を反映させ、ポートフォリオ全体のリスクを再計算します。
金利が1%上昇したらどうなるか。
評価損益はどれだけ変化するか。
デュレーションやBPVは適正範囲か。
こうしたシミュレーションを繰り返しながら、必要であれば追加の対応を検討します。
また、経営層へ説明する資料やALM委員会用の資料を作成するのも、この時間帯の重要な仕事です。
市場が終わっても仕事は終わらない
午後3時30分、市場は終了します。しかし、余資運用担当者の仕事はここからもう一段階あります。
当日の約定内容を確認し、システムへ入力し、残高を照合します。
さらに、その日の損益やリスク指標を確認し、翌日の重要イベントを整理してから退勤します。
つまり、翌日の仕事は、その日の夕方から始まっているのです。

まとめ
営業店では、お客様との約束や営業活動に合わせて一日が進みます。一方、余資運用担当者の一日は、市場の動きに合わせて進みます。
市場を見て、資金を見て、リスクを見て、経営への影響を考える。
一日の仕事は派手ではありません。
しかし、その積み重ねが信用金庫の資産を守り、安定した経営を支えているのです。
では、フロントの運用担当者は、「今日、市場で何が起きそうなのか」をどのようにして予想するのでしょうか。
次回は、予想のもととなる、金利・株価・為替などの相場を見る視点を、実務に沿って解説していきます。
📌 30秒で振り返り
・余資運用担当者の一日は、海外市場の動きなどをチェックして、その日の市場を俯瞰することから始まる。
・「今日はどんな相場になりそうか」というシナリオを頭の中で組み立て、売買は午前中に行うことが多い。
・市場が終わっても仕事は終わらない。翌日の仕事は、その日の夕方から始まっている。
💡 筆者メモ
他部署の人からは、余資運用担当者は、一日中パソコンの前で相場を眺めているだけで、「暇そうだ」と思われることがあります。
しかし実際には、売買するまでに、多くの情報を集め、市場を分析し、資金繰りやポジションを確認しながら、さまざまな可能性を頭の中でシミュレーションしています。そのため、表面からは見えなくても、常に頭の中はフル回転しています。
だからこそ、「何もしない」という判断も、決して消極的な選択ではありません。十分な分析と覚悟の上で下す、立派な運用判断なのです。
【免責事項】
本記事は一般的な情報提供および教育を目的として作成したものであり、特定の金融商品の売買や投資判断を推奨するものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任においてお願いいたします。詳細は免責事項をご覧ください。
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