金利・株価・為替の見方
*相場を理解するには研鑽と経験が必要です。今回は、運用担当者の視点から、基本となる相場を見る姿勢についてお話します。
運用担当者は毎日、金利や株価、為替を見ています。
しかし、その目的は相場を当てることではありません。
相場を見る目的は、備えることです。
大事なことなので、もう一度言います。 相場を見る目的は「当てること」ではなく「備えること」です。
運用担当者は、自金庫の保有している有価証券の価格変動リスクを早めに察知することで、預金者のお金を安全に守りつつ、安定した収益につなげることが求められます。
金利・株価・為替の動きを知ることで、
今日の市場で何が起き、 自金庫のポートフォリオにどう影響しそうか、
を「想定」できるようになることが大切です。
相場の三本柱
相場は次の三つで見ます。
金利 株価 為替
三つはバラバラではなく、金利が動くと株価や為替も動き、株価や為替の動きがまた金利に跳ね返る、というように、お互いに影響し合っています。
まずは「三本柱をセットで確認する」習慣をつけることが第一歩です。

金利の見方
短期金利
中央銀行がコントロールする金利で、金融政策のスタンスを表します。
長期金利(5年・10年国債など)
長期金利は、将来の景気や物価、金融政策への見方など、市場参加者の期待を反映して動きます。
これからの景気や物価の見通しを映しており、自金庫が保有している債券の評価損益に直結します。
金利を見るときは、上がる流れなのか下がる流れなのかと、どのくらいの幅と速さで動いているのかを意識すると、点が線となって、理解しやすくなります。
株価の見方
株価は、企業業績や景気見通しを先取りして動きやすく、金利・為替の鏡と言われます。
一般に、金利が上がると、株にはマイナス材料になりやすく、円安になると、輸出企業にはプラス材料になりやすいと考えられます。
日経平均株価や米国の株価指数の動きを、景気に対する期待や世界全体のリスクの取りやすさの目安として見ると、債券や為替の動きも理解しやすくなります。
為替の見方
外国為替市場は金利差とリスクで動きます。
まずは、ドル・円が基本です。為替は、日米の金利差に加え、市場全体が「リスクを取りたいか」「安全資産を選びたいか」という投資家心理の影響も受けます。
自金庫で、外貨建て資産や外貨預金があるか、または、為替ヘッジをしているかどうかを意識しながら、レートだけでなく、大きく動いているかどうかも見るのがポイントです。
毎朝夕のチェック
私は毎朝、市場がどちらへ動きそうか、自分なりの仮説を立てていました。
仮説を立てずにニュースだけを読むと、情報を受け身で眺めるだけになってしまうからです。
毎朝行う相場チェックにおいては、次の指数を確認することを習慣にしていました。
主要国の金利(日米の短期金利と国債利回り) ドル円為替レート 日経平均株価と米国株価指数 WTI原油先物
そして、これらがなぜ動いたのかをニュースやレポートを参考にして短くまとめ、
今日の相場の動きを、例えば金利であれば、10年国債利回りは上がるのか、下がるのか、横ばいか、を予想していました。
その予想を立てるにあたっては、前提となる理由・材料が必要であり、思い付きや勘で予想しても意味がありません。
引け後は、自分の予想が正しかったかどうかを検証します。
たとえ予想通り相場が動いたとしても、理由や前提条件が異なっていれば、省みて考える必要があります。
そして、必ず自金庫の運用にどう影響するかも考えていました。
これを続けることで、過去から現在の相場を見て、今後のストーリーを想定し、自金庫の運用について説明する力を付けることができたと思っています。
そして、管理職に求められるのも、相場を当てる力ではありません。
リスクを取るべきか抑えるべきかを判断し、その考え方をチームで共有できる力です。
管理職には、相場のストーリーと自金庫のALM・収益計画を結びつけて語れる力も必要となります。
では、運用担当者は、どのようにしてこれらの市場情報を集めているのでしょうか。
次回は、市場情報の集め方を、 マーケット情報と人的情報に分けて、実務に沿って解説していきます。
📌 30秒で振り返り
・運用担当者が相場を見る目的は、「相場を当てること」ではなく「備えること」にある。毎日の「予想→検証」の積み重ねが、相場を見る力を育てる。
・金利、株価、為替の三つはバラバラではなく、お互いに影響し合っている。三つをセットで確認する習慣が大切である。
・予想通り相場が動いたとしても、理由や前提条件が異なっていれば、省みて考える必要がある。
💡 筆者メモ
運用担当者にとって、毎朝夕に市場をチェックすることは必須です。これなくして有価証券の運用はできません。
しかし、毎日チェックする事項が多すぎれば、どこかで行き詰ってしまいます。指標コレクターになっても意味はありません。情報を増やすことと考えることは別です。
自金庫の運用にとって必要な情報を取捨選択し、自分の頭で考える時間を確保することが大切になります。
【免責事項】
本記事は一般的な情報提供および教育を目的として作成したものであり、特定の金融商品の売買や投資判断を推奨するものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任においてお願いいたします。詳細は免責事項をご覧ください。
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