第2回 信用金庫はどのように利益を上げているのか

信用金庫についての基礎基礎

融資と有価証券運用の仕組み

*信用金庫は地域経済を支えていくという目的のために、相互扶助と必要な収益の獲得の両立を目指して、日々奮闘しています。

信用金庫は営利企業とは違う考え方で運営されている金融機関です。

皆さんは、薪を背負って本を読んでいる二宮尊徳翁の銅像をご覧になったことがありますか。(私の通っていた小学校の校門近くにこの銅像が立っていました。)

尊徳翁は、信用金庫の原型である相互扶助の仕組みをつくった人物と言われています。その尊徳翁の残した言葉に、「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」というものがあります。

どれだけ素晴らしい理念を持っていたとしても、継続できなければ、結果として世の中の発展のために価値を提供することはできません。

信用金庫は「利益を追求しない金融機関」と思われがちです。しかし、利益がなければ地域を支えることもできません。では、その利益はどこから生まれているのでしょうか。

融資による利ざや収益

信用金庫の収益の中心は、預金金利と貸出金利の差である利ざやです。

預金者から預かったお金を、地域の中小企業や個人の方に、預金より高い金利で貸し出すことで利ざやをいただいています。

「貸出金利 − 預金金利 − 経費」が本来業務による利益の中心となります。

 信用金庫と地方銀行の収益構造を比較すると、足元の金利上昇によってどちらも貸出金利が上昇しており、融資収益は改善しています。

ただし、地銀では、有価証券運用や手数料収入など、融資以外の収益の割合が比較的大きい傾向があります。

余裕資金運用による収益

地域で貸し出しきれなかった預金は、まずは信用金庫の上部組織である信金中央金庫へ預けられます。信金中央金庫は、その資金を用いて国内外で多様な運用を行い、運用成果の一部を各信用金庫へ利息収入として戻しています。

さらに、貸し出しきれなかった資金は、国債やその他の市場性商品の運用に回されます。多くの信用金庫では、国債や地方債などを中心とした債券運用も行っています。

ここから得られる利息・配当・売買益などが、いわゆる有価証券運用収益といわれるものです。

しかし、ここ数年の金利上昇によって、金利リスク管理が収益と健全性の両面で重要になっています。

金利が上昇すると、保有している債券の価格は下落します。利益を確保するだけでなく、こうした価格変動を管理することも運用担当者の重要な仕事です。

協同組織としての特徴と利益水準

信用金庫は協同組織金融機関であり、会員や地域の利用者への相互扶助を目的としています。

このため、「利益最大化」ではなく、地域への金融サービスを継続・強化するために必要な「適正な利益を確保する」という考え方が前提になります。

「信用金庫は利益を目的にしていない」のではなく、「地域を支え続けるために必要な利益の確保を目的としている」

利益は、銀行のように配当として株主へ厚く還元するのではなく、適正な配当金支払い後に、自己資本を厚くし将来も地域金融を続けるために活用されます。

それら収益は、地域イベントへの協賛などの非金銭的なサポートも含めた地域貢献投資に回されることもあります。

しかし現在、多くの信用金庫では融資だけでは十分な利益を確保しにくくなっています。なぜそのような時代になったのでしょうか。

次回は、その背景を一緒に考えていきます。

📌 30秒で振り返り

・信用金庫の本業収益は、預金金利と貸出金利の差である利ざやが中心となっている。

・融資に回らなかった預金は、信金中央金庫への預け入れや、有価証券の運用に回される。

・相互扶助を目的としている信用金庫では、「適正な利益を確保する」という考え方が前提になる。

💡 筆者メモ

「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という言葉は重く胸に刺さります。

理念だけでは組織は続きません。一方で利益だけを追えば地域から信頼を失います。

信用金庫は、この二つのバランスを大切にしてきた組織なのだと思います。

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